メグレ警視

第1話 「 モンマルトルのメグレ  1991 (MAIGRET et Les Plaisirs de la Nuit) 」

夜明けのピガール。ナイトクラブ〃快楽館〃のストリッパー、リリーが仕事を終え、ほろ酔いかげんで警察署に入ってくる。リリーは「これから殺人事件が起きるわよ。オスカーって男が伯爵夫人を殺すつもりなんだから」と妙なことを宣言するが、言いおわると今言ったばかりの自分の言葉を否定した。

数時間後、リリーの死体が“快楽館”で発見される。警察署での女の話を聞いたメグレは、すぐさまオスカーなる人物を探しはじめる。彼は〃快楽館〃の経営者のローズとフレッドにもいろいろとたずねる。フレッドはリリーと関係があったとことを告白するが、オスカーという男は知らないと断言する。
別のストリッパーからリリーはマルリー・ル・ロワで育ったと教えられ、メグレは殺された女の過去を探ろうと出かけてゆくが、時を同じくして、一人の伯爵夫人が自宅のアパルトマンで絞殺されたという知らせを受けるのだった……。

第2話 「 メグレと口の固い証人たち  1993 (MAIGRET et Les Temoins Recalcitrants) 」

イヴリー河岸で、真夜中、少し酔った川船の船長が二発の銃声を聞き、裕福な金持ちの屋敷の窓に明かりがつくのを見ていた。翌朝、かつての老舗のビスケット製造会社ラショーム家のレオナール・ラショームがベッドで心臓の真ん中を撃たれて死んでいるのが見つかる。 被害者の末弟、アルマンドからの連絡を受けて、メグレは部下の警部二人と現場へ赴くが、その家の雰囲気は重苦しかった。

まるで十九世紀末のような雰囲気が漂うブルジョワ一家の屋敷。アルマンドもその妻、ソランジュも殺人にかかわった様子は見られず、被害者の年老いた両親もまたいっそうかかわりはなさそうだ。ただ、この家に五十年仕えるカトリーヌだけがレオナールの死を悲しんで涙を流し、「従業員の給料を狙った」泥棒が犯人だとしきりにメグレを説きつけてくる。だが、それがかえってメグレに疑問を抱かせるのだった。
やがて、ラショーム社が生き延びられているのは、ひとえにソランジュの個人財産のおかげなのをメグレは知る。それに、かれこれ二十年前に死んだヴェロニク・ラショームについて皆が黙っているのはなぜなのか。

第3話 「 男の首  1994 (MAIGRET ET LA TETE DUN HOMME) 」

モンフォール・ラモリーの別荘で、二人の女性が殺害される。外交官の未亡人で富豪のアメリカ人とそのメイドだった。残された足跡や指紋、目撃者の証言から犯人はパリの有名なカフェ・レストラン「クポール」の皿洗い、ジョゼフ・ウルタンとわかる。ジョゼフは無罪を主張しつづけるが、それも空しく死刑判決を受ける。

しかし捜査を担当したメグレだけは一人、納得できずにいた。事件はあっという間に片付いてしまったが、殺害の動機が欠けている。メグレは判事を説得して、真犯人を突き止めるためにジョゼフを逃がす計画をたてる。

厳しい監視体制のもと、すべては計画通りに進んだ。日が落ちると、ジョゼフは刑務所の壁を上って脱獄し「クポール」へ駆け戻ると、そこから郊外のカフェホテルに移って部屋をとった。しかし、夜明けと共に事態は一変してしまう。新聞に計画をすっぱ抜かれてしまったのだ。何者かが新聞社に匿名の手紙を出して計か卯を告げたのだった。ジョゼフはまんまと姿をくらまし、一大スキャンダルになってしまう。メグレは辞職を覚悟した。そして自ら一週間と期限をきって最後の賭けをする。手紙の賭けをする。手紙の筆跡鑑定から、差出人が賭け事や戦略に長けた人間とわかったのだ。メグレはパイプをポケットに入れ、「クポール」へと出かけてゆく。

第4話 「 サン・フィアクル殺人事件   1995 (MAIGRET ET L’AFFAIRE SAINT-FIACRE) 」

いったいなんだって十一月のこんな寒々とした寂しい日に、メグレは幼い日々を過ごしたサン・フィアクルの村へやってきたりしたのだろう。帰郷の旅についてきた妻のルイーズはそんな思いを抱いていたのだが、彼女は数日前に届いた匿名の差出人からの手紙を夫に見せられる。

その手紙には、サン・フィアクル教会でおこなわれる「死者の日」の最初のミサの間に殺人事件が起きるだろうと予告されていた。メグレはこの短い手紙をほうっておけなかったのだ。 村につくとすぐ、メグレ警視は両親が眠る墓を訪れた。そこで、もう何年も会っていなかったサン・フィアクル伯爵夫人に出会う。

メグレの父親が伯爵家の館の管理人をしていた昔の事を、二人は懐かしく語り合った。そのあと、メグレとルイーズは協会のミサに加わった。 メグレは参列した信者をじっと、注意深く観察した。この中に、殺人犯が潜んでいるのだろうか。そのとき突然、伯爵夫人がミサ典書を開きかけたまま崩れるように倒れこんだ……。

第5話 「 パリ連続殺人事件   1996 (MAIGRET TEND UN PIEGE) 」

パリを恐怖におとしいれている5件の連続殺人事件。だが、メグレ警視は何一つ手がかりを得ていない。犯行は決まって夕暮れ時。被害者は同じ体型の女性ばかり。場所はいつも20区のピレネ地区。メグレ警視は5ヶ月間の捜査の末、この殺人犯は精神病者と断定し、精神科医のティソ教授の助言に従い、一か八かの賭で罠を張る決意をする。そして犠牲者と似た体型の女性警官50名がおとり作戦としてピレネ地区に配置された。

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